N中1989年度3年3組学級通信「わ！」から その１

新しい学級が始まった。このクラスでは今でも強く心に残っていることがある。それは親一人、子一人で必死で働いて頑張っているあるお母さんがおっしゃった言葉である。「先生、私はこの春休み、お百度を踏んでたんよ。１年の時担任してくれた先生のクラスに息子がもう一度入れるようにって。私がほとんど子どもの面倒をみてやれなかったからほんとにろくでもない育ち方をして、先生のクラスになるまでは一回もほめられたことがなかったんよ。１年の時の個人懇談で、先生が息子はいい子ですよと言ってくれたときうれしくて泣きそうだったんだ。そのあともいろんな場面で息子が活躍できる場を作ってくれてすごく有り難かった。息子の進路は先生と三人で話し合って決めたかったから神頼みをしてしまった。神様に聞いてもらえてすごくうれしい。」と。私はさほど深く考えてお母さんと話したわけではなかったのにこんなに思ってもらえたなんて、こちらが泣いてしまいそうだったのを覚えている。苦労して孤独に生きている保護者に寄り添う大切さを強烈に知らされた出来事だった。この１年も子どもたちと共に頑張っていこうと強く思った。