いなTの学級通信

生徒が作ってくれた人形のプロフィール画像にそっくりなもと中学校理科教師のブログです。

N中1994年度2年2組学級通信「わ!」から その21

 学級通信とは少し離れますが今日はシーズー犬のハナの死について少し話させて下さい。昨日のブログにも書きましたがハナは南淡の海を見下ろすホテルで静かに息を引き取りました。なぜそんなときに旅行なんかと思われるかもしれませんがこんな事情です。

 ハナは旅が大好きでした。歳をとって良性の乳腺腫瘍ができたのですが私が軽く考えて近くにできた新しい獣医に連れて行ってしまったのです。技術的に本当に下手な獣医で結局麻酔の時にハナの気管を傷つけたらしくそれ以後せきが止まらなくなりました。あわててそれ以後は名医といわれる他市の獣医さんにかかったのですが本当にハナには申し訳ないことをしました。その獣医さんは針治療の権威でとても素敵な方でした。ハナの体調にずっと寄り添って下さり、楽しいことをいっぱいさせてやったらいいよと言われて、体調と相談しながらあちこちに連れて行きました。ハナは旅に出ていろんな犬たちと遊びながらドンドン元気になっていったような気がします。でも15歳を過ぎるとさすがに弱ってきて食欲もなくなり、私たちが見てももう別れは近いなと思うようになりました。そんなとき獣医さんに連れて行ったときの先生のおっしゃったことは次の通りです。

 「食欲がなくなったハナちゃんに点滴を打って一時的に元気にすることはできるよ。だけどせっかくハナちゃんの身体がもう精一杯生きたからゆっくり眠りたいと言っているのだからそれを受け止めてあげたらどうかな。点滴は苦しみも一緒に運ぶよ。」と・・・。

 すごく悲しかったですが私たちはそれを受け止めることにしました。まだ余力があるうちにハナの大好きな旅に出ようと決め、車の後ろに布団を高く敷いて寝たままで外が見えるようにしてやりました。そしてたどり着いたのが南淡のホテルです。夕日が沈む中庭でいっぱいハナとしゃべりました。ありがとうも何度も言いました。そうして夕食の時が来て私の向かい側のいすに座っていたハナはウーンと気持ちよさそうに伸びをしてそのまま息を引き取りました。宿に迷惑がかかってはいけないのでそっと抱いて部屋に戻り、「ハナ、ご苦労様。」とさすってやりました。

 ハナはいい死に方をしたと思っています。私たちもできることならこの先、ハナにならって延命治療などはせず、静かにこの世を去りたいと願っています。死に向かうことについてはいろいろな考え方があると思いますが、私は元気に動けるうちにやれることをめいっぱいやって「あー、ありがたい人生だった。」とまわりのすべてに感謝して死にたいと思っています。もうしばらくよろしくおつきあい下さい。